日時:2017年10月10日(火)
場所:ザ・キャピトルホテル東急
米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、2017年10月10日に、日本製薬工業協会(JPMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)との共催により、「創薬研究者の視点~イノベーションを求めて~」と題したシンポジウムを開催しました。
現在、中央社会保険医療協議会を中心に薬価制度の抜本改革の議論が進められています。今回共催した日米欧の製薬業3団体は、この議論の論点を、“社会保障制度の持続性や国民負担の軽減を達成しつつ、革新的な新薬(イノベーション)を評価し、患者さんにいち早く届けるにはどのようにするべきか”であると考え、国内外の研究者から創薬におけるイノベーションの重要性を医療政策に関わる方々に直接ご紹介する機会として、東京大学トランスレーショナル・リサーチ・イニシアティブ(TR機構)のご協力を得て本シンポジウムを実施しました。
当日は、PhRMA日本代表であるエイミー・ジャクソンの開会の辞、東京大学トランスレーショナル・リサーチ・イニシアティブ 加藤益弘特任教授の開催趣旨説明から始まり、国内外の研究者 6名(アクセリード・ドラッグ・ディスカバリー・パートナーズ社(武田薬品工業株式会社子会社)社長 池浦義典氏、イーライリリー社臨床及び製品開発担当上級副社長 ダニエル・M・スコヴロンスキー氏、バイエル社創薬及び動物薬担当責任者並びに同社執行役員 アンドレアス・ブッシュ氏、東京大学大学院理学系研究科 菅裕明教授、アッヴィ社臨床ウイルス学担当取締役 クリスティン・A・コリンズ氏、ヤンセン社精神科学治療分野アルツハイマー病分野担当副社長 ロイ・E・トゥイマン氏)がそれぞれ講演を行いました。
池浦義典氏からは、「創薬研究者として創薬会社の立場から薬を作るのではなく、患者さんに本当に必要とされる、使っていただける薬をつくらなければならない。」という創薬に対する熱いメッセージとともに、革新的な医薬品を届けるにあたっての製薬業界を取り囲む環境やその変化、患者さんを起点とする新たな創薬プロセス、創薬エコシステム構築の重要性について発表がありました。
続いて、ダニエル・M・スコヴロンスキー氏からは、糖尿病やオンコロジー等5つの重点領域における近年の新薬開発状況やイノベーションを促進する環境の重要性を、アンドレアス・ブッシュ氏からは、3つの主要研究分野における研究活動や研究開発において重要となる各パートナーとの柔軟な連携を可能とする世界的なオープンイノベーションモデルの発表がありました。
菅裕明教授からは、東京大学発のバイオベンチャーであるペプチドリーム株式会社の創業背景やビジネスモデル、特殊ぺプチドに関する具体的な技術の紹介がありました。
さらに、クリスティン・A・コリンズ氏からはC型肝炎治療薬を、またロイ・E・トゥイマン氏からはアルツハイマー病の治療薬を例に、研究に対するチャレンジについての発表がありました。
パネルディスカッションでは、加藤益弘特任教授がモデレーターを務め、講演を行った6名がパネリストとして登壇しました。議題は聴衆者の皆様より集めた質問票をもとに、研究を通じて嬉しかったことや大変だったこと、メディカルイノベーションを実現するための関係者の役割、企業間のコラボレーションを進めていくポイントなど活発な議論が交わされました。2時間半に及んだシンポジウムは、EFPIA理事であるハイケ・プリンツによる閉会の辞とともに幕を閉じました。
本シンポジウムには、医療行政に関わる政府関係者、医薬系研究者、医薬系関連団体、マスメディアなど80名以上の聴衆が参加しました。
【シンポジウム模様】
シンポジウム風景 |
エイミー・ジャクソン |
加藤 益弘 |
池浦 義典 |
ダニエル・M・スコヴロンスキー |
アンドレアス・ブッシュ |
菅 裕明 |
クリスティン・A・コリンズ |
ロイ・E・トゥイマン |
パネルディスカッション風景 |
ハイケ・プリンツ |
|