2012年4月25日
今般、中央社会保険医療協議会(中医協)等の場で医療技術等の評価における費用対効果の導入の検討がなされることが公表されました。米国研究製薬工業協会(以下、PhRMA)は、適切な「医療技術等の評価(以下、HTA)」を推進することは、国民の健康・生命を守り、また公的医療保険制度の公正な運用を確保するという観点から、非常に重要であると考えています。
しかしながら、費用対効果等の経済的評価は、医学的および社会的評価を含むHTA全体のごく一部に過ぎません。諸外国で導入されたさまざまな形態のHTAをみれば、経済的評価に重点を置くあまり、新しい医療技術等への患者さんのアクセスに支障を来たしたり、業界のイノベーションへの意欲を殺いでしまったりする事例が多々見受けられます。こうしたことでは、我々医薬品産業が貢献したいと考えている患者さんにとって、大きな害をもたらしてしまいます。
日本では、医療技術本体、医薬品、および医療材料のいずれの分野においても、既にHTAの枠組みは一定程度整備されており、経済的評価についても、従来の医療技術等と比して、優れている有効性・安全性を特定し、それに見合った償還価格を設定するという形で一定の評価が行われています。PhRMAでは、すでに存在するこの枠組みをさらに改善し、患者さんに最高かつ最適な医療を、確実に提供する、一定の充実・強化を行うことができると考えています。
強化のためには、次の4つの視点に立って取り組む必要があります。
第一に、様々な治療オプションに対する患者さんのアクセスが現在と同じ水準で確保される必要があります。医療技術、医薬品、および医療材料の分野で、新しい医療技術等への患者さんのアクセスに遅れや制限をもたらさないことです。
第二に、治療オプションの価値は、包括的かつ適切に評価されなければなりません。治療の直接的な便益のみならず、患者さんのQOLへの影響や医療技術等の社会的および経済的な便益や患者さんの経済的な生産性も含めた包括的な評価を、対象となる医療技術等の特性に応じた適切な方法を選択して実施すべきです。
第三に、充実・強化に伴う負担は最小限に抑える必要があります。追加的なデータ収集は最小限とし、また、事務の肥大化も回避すべきです。
第四に、患者さんが将来的に受ける便益に基づいて、イノベーションを適切に評価され高い経済価値が付与されるべきです。特に、市場拡大再算定に関わる政策では、患者さんの健康に与える影響や社会的、経済的な便益の面からも評価されなければなりません。
医療政策については、費用という面からだけでなく、国家経済と国民の暮らしに対する社会的および人的な投資としての影響という面からの検討が不可欠です。
HTAに関するPhRMAの見解は添付した2つの資料にさらに詳述しています。
添付1:ヘルスケアフレームワーク「医療政策の基本的な考え方」~日本における医療分野への投資に関するPhRMAの見解~ (PDF)
添付2:日本における「医療技術等の評価」に関するPhRMAの提言 (PDF)
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ニュースリリース (PDF)