2022年1月19日
米国研究製薬工業協会
在日執行委員会委員長 ジェームス・フェリシアーノ
欧州製薬団体連合会
会長 岩屋孝彦
令和4年度費用対効果評価制度改革および
費用対効果評価の分析ガイドライン(第3版)に関する
米国研究製薬工業協会(PhRMA)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)による共同声明
本日、中医協費用対効果評価専門部会において「令和4年度の費用対効果評価の制度改革」が了承されました。同時に、国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センター(C2H)の「費用対効果評価の分析ガイドライン(第3版)が了承されました。これを受け、米国研究製薬工業協会(PhRMA)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)は以下の通り意見を表明いたします。
日本では費用対効果評価制度が、薬価制度を補完する制度として2019年に導入され、この度初の見直しが行われました。この間、米国研究製薬工業協会(PhRMA)および欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、中央社会保険医療協議会(以下、中医協)を中心とした費用対効果評価制度に係る議論の場において意見を述べてまいりました。本件に係る議論の中で、本制度の大きな枠組みを変更しないことが確認され、運用プロセスについても一部改善が図られたものと認識しています。
1)令和4年度費用対効果評価制度改革に関して
この度の改革においては、適切な制度運用を目指して分析前協議、分析対象集団に対する考慮、効能追加時の分析などについて改善がみられました。一方で、運用時の判断に関しては不明な点がいくつか存在します。例えば、分析期間の超過の判断、分析対象集団の設定、H3区分の設定、効能追加時の分析の免除に関して、実際にはどのようなケースでこれらが実施されるのかが不明な部分があります。また、追加的有用性の有無の判断や、ドミナント(比較対照技術に対し効果が増加し、かつ費用が削減される)医薬品の評価などに関しては、引き続き改善に向けた検討をいただきたいと考えます。
よって、今後、より高い予見性と透明性を維持しながら、運用していくためにも上記の疑問を解決できるよう、Q&Aなどの発出により、共通の理解のもと費用対効果評価が実施されていくことを希望します。
2)費用対効果評価の分析ガイドライン(第3版)に関して
ガイドラインの改定は費用対効果評価の結果に大きな影響を与えますが、今回の改定では、患者割合の決定(ガイドライン3.3)、追加的有用性の評価(ガイドライン5.1)など、今後の運用時に理解の齟齬が生じ、結果として公的分析と企業分析間における結果の大きな乖離、分析期間の延長等につながることが危惧される改定も含まれました。ガイドラインは、学術的な意義、公共性も高いことから、今後は開かれた場でC2Hからガイドライン改定の経緯、変更点についての説明を希望します。
現在、厚生労働省は、日本における費用対効果評価の向上のため、医療経済評価の人材育成の拡充、学術研究の普及を様々な観点で推進されています。今後もこの分野が活性化していくためにも政策の場において、透明性高く科学的な意思決定がされることを強く望みます。
PhRMAおよびEFPIAは、日本の患者さんにイノベーションをお届けしていくために、予見性・透明性の改善、科学的に妥当な議論を推進すべく、引き続き積極的に費用対効果評価の議論に参加し、日本政府をはじめ、様々なステークホルダーの皆さまと協力していく所存です。