PhRMAは日本医師会とともに、去る2014年5月21日に”真のワクチンギャップ解消に向けた予防接種のあり方”をテーマに、昨年に引き続き2度目となる共催シンポジウムを開催しました。
同シンポジウムは、新ワクチン導入時における海外と日本の違いや、日本におけるワクチンギャップ解消に向けての取り組み、さらに、日本のワクチン政策に関する最新動向についての情報を提供することにより、ワクチン政策の動向に影響力を持つ聴衆の方々に、今後日本の社会に望まれる予防接種のあり方についての正しい理解を促すひとつの契機とするべく、PhRMAと日本医師会が企画したものです。
シンポジウムは横倉 義武 日本医師会会長の「本シンポジウムが、VPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで予防可能な疾病)と闘っている人をなくし、わが国および世界の人々の健康に資するものとなることを祈念する」という開会の辞と、マーク・スウィンデルPhRMA(日本)ワクチン委員会委員長の「疾病を防ぐワクチンの重要性を幅広い方々に理解してもらうことが公衆衛生の信頼性向上という側面からも極めて重要。 このシンポジウム開催を次のステップに進むための一助としたい」という趣旨の開会メッセージで始まりました。
最初の演題では、WHO(アドバイザー)のディヴィッド・ソールズベリー教授より「英国における新型ワクチン導入の成功事例」をテーマに、新たなワクチン普及までに具体的にどのような障壁があったか等をお話しいただきました。
続いて、「『ワクチンギャップ』解消への日本医師会の取り組み』と題し、小森 貴 日本医師会常任理事より、10年以上にわたり継続実施されている”子ども予防接種週間”など、医師会が展開する予防接種キャンペーンをご紹介いただきました。今後の課題としては、「副反応に対する正しい対応」、「副反応に関する透明性と開かれた議論」を挙げ、「国民の皆様とともに議論を深め、日本医師会として何ができるかを問うていく」と話されました。
最後は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会会長を務められている、岡部 信彦 川崎市健康安全研究所長より「転換期を迎えた日本のワクチン政策『日本のワクチン政策に関する最新情報』」についてご紹介いただきました。「ワクチンは、病気を予防する必要性と副反応の存在双方について議論していかなければならない。日本の子供たち、あるいは大人も含めて、"疾病の予防"が大きなキーワードであろうと思います」と話されました。
パネルディスカッションでは道永 麻里 日本医師会常任理事とマーク・スウィンデルPhRMA(日本)ワクチン委員会委員長が座長を務め、ディヴィッド・ソールズベリー教授、小森 貴 常任理事、岡部 信彦所長が再度登壇。本シンポジウムのテーマである「真のワクチンギャップ解消に向けた予防接種のあり方」について意見交換が行われました。
各演者ともに日本の「ワクチンギャップ」をとりまく環境は改善されつつあるとの認識で一致する一方で、パネルディスカッションでは、ディヴィッド・ソールズベリー教授による、過去の英国におけるMMR(麻疹、おたふく風邪、風疹)ワクチンの副反応に関する報道の影響についての事例紹介や、日本政府や各製薬企業に対し求めることなど、今後、いかにワクチンに対する正しい理解を得て、よりよい接種環境を創出していくかについて、議論が交わされました。
本シンポジウムには、各都道府県医師会の公衆衛生担当理事を中心に、医療行政に関わる国会議員、関連官公庁職員、主要マスメディア、PhRMA加盟企業を主とする製薬会社社員など140名を超える聴衆が参加しました。
●講演スライド