日時:2021年6月19日(オンライン会議)
PhRMAは去る2021年6月19日、トランスレーショナルリサーチ・コロキアム「日本発シーズを迅速に実用化する為の創薬イノベーションエコシステム構築に向けて」をオンライン会議形式で開催しました。
米国では、アカデミアの研究成果をバイオベンチャーが、製薬企業に橋渡しするというイノベーションを迅速に創出する創薬エコシステムが構築されています。日本においても、製薬企業がアカデミアの研究成果の中からシーズを求めるようになり、産学連携によるオープンイノベーションが盛んに行われています。しかし、米国と比較してバイオベンチャーが根付いていない日本においては、効率的にアカデミアから製薬企業への橋渡しができずに、日本発のシーズが革新的医薬品の開発につながりにくいという課題があります。 今回のトランスレーショナルリサーチ・コロキアムでは、主に「インフラ」と「人材育成・交流」にフォーカスして日本でトランスレーショナルリサーチを推進するための課題や展望について議論しました。
今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、各参加者がリモートで参加するオンライン会議形式での実施となりましたが、合計12名の有識者にご参加いただきました。
第1部:「インフラ」
参加者を代表して3名の方より現在国が行っているヘルスケアベンチャー支援やオープンイノベーション拠点の取り組み、ベンチャーキャピタルから見た国内のバイオベンチャーやアカデミア創薬の課題と期待について順番にご発表いただきました。その後のフリーディスカッションでは、規制・政策の枠組みや環境整備、資金調達における課題について、実際にアカデミア発ベンチャーを設立した経験者を交えて、アカデミア研究の実用化に必要なインフラの課題と今後の展望について議論しました。
第2部:「人材育成・交流」
第2部ではアカデミア、企業間レンタル移籍プラットフォーム、オープンイノベーション拠点、製薬企業の参加者より、人材育成や交流に関する現在の取り組み実例についてご発表いただき、日本においても徐々に人材交流を促進する動きが進んでいることが、最新の実例と共に確認することができました。その一方で米国と比較して遅れをとっていることも事実であり、日本においては個人のキャリアパスの中で産官学を行き来することに対する送り出す側・受け入れる側のマインドセットの変革が必要であること等について意見交換をしました。
また、本コロキアムの中で、産官学+金(金融)という言葉も使われ、改めて「産官学金」の交流の場や連携の重要性を再確認するとともに、今後のあるべき姿を探る機会となりました。
参加者一覧(敬称略)
議長 | |
桑原 宏哉 | 東京医科歯科大学 統合イノベーション推進機構/医学部附属病院 脳神経内科 講師 |
経済産業省 | |
山本 浩平 | 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 |
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) | |
大槻 孝平 | 戦略相談課 |
アカデミア | |
小川 行平 | 東京医科歯科大学 オープンイノベーション機構(TMDU OI機構)クリエイティブマネージャー |
ベンチャー | |
川堀 真人 | 株式会社RAINBOW、北海道大学病院 脳神経外科/神経細胞治療研究部門 特任准教授 |
水野 和恵 | 株式会社 Preferred Networks リサーチャー、合同会社MRC 代表社員 |
ベンチャーキャピタル | |
長谷川 宏之 | 三菱UFJキャピタル株式会社 ライフサイエンス部長 |
創薬研究・イノベーションサポートサービス | |
藤本 利夫 | 湘南ヘルスイノベーションパーク ジェネラルマネジャー |
松川 泰久 | 公益財団法人川崎市産業振興財団 殿町キングスカイフロントクラスター事業部 イノベーションプロデューサー |
嶋村 敏孝 | 川崎市臨海部国際戦略本部 国際戦略推進部 |
原田 未来 | 株式会社ローンディール 代表取締役社長 |
製薬企業 | |
西庄 功一 | アッヴィ合同会社 開発本部 本部長 |
オブザーバー | |
大脇 健二 | PhRMA Translational Research Subcommittee 代表/日本イーライリリー株式会社 |
上杉 幸嗣 | PhRMA Translational Research Subcommittee 副代表/ファイザーR&D合同会社 |
寺尾 寧子 | PhRMA Translational Research Subcommittee/ヤンセンファーマ株式会社 |
中 忠篤 | PhRMA Translational Research Subcommittee/アッヴィ合同会社 |
トランスレーショナル・リサーチコロキアム
トランスレーショナルリサーチ・コロキアムはアカデミア、規制当局、製薬企業などで研究開発に携わっている研究者の方、テーマに携わる様々な方にご参加頂き、異なる立場からの議論をもとに、直面する課題に対するソリューションを探る機会を設けるもので、2015年より継続して開催しています。
また、PhRMAは2013年より産官学の連携で国内アカデミア創薬を促進・サポートする活動として、「ヤング・サイエンティスト・シンポジウム」の開催や、国内の若手研究者を米国に短期間派遣し、米国における保健医療政策、医薬品研究、規制慣行、トランスレーショナルリサーチの最新情報を学ぶ「マンスフィールド-PhRMA 研究者プログラム」の実施など、トランスレーショナルリサーチの活性化、啓蒙を命題とした活動を行っており、本コロキアムもその一環として開催しています。