ニュースリリース
2017年11月2日
米国研究製薬工業協会
米国バイオ医薬品業界のリーダーが提言:
「革新的な医薬品へのアクセスは、日本の患者さん、
医療制度、そして日本経済に貢献」
※当資料は、米国研究製薬工業協会米国本部が、米国内で現地時間 2017年11月1日に発表しています。
米国に拠点を置く革新的なバイオ医薬品企業のトップが、10月30日から11月1日にわたり日本の政府高官を含むステークホルダーと会合を持ち、イノベーションを促進する経済圏としての日本市場の重要性について改めて強調しました。
日本の薬価制度に対して抜本的な見直しが行われている中、ロバート・J・ヒューギン(セルジーン社 会長)、ケネス・C・フレージャー(メルク社 会長兼最高経営責任者)、デイヴィッド・A・リックス(イーライリリー・アンド・カンパニー 会長&最高経営責任者)の3氏は、日本の患者さんが世界で最先端の医薬品と治療法にアクセスできる現状を維持すると同時に、日本の医療制度を長期的に持続させることの重要性を強調しました。
2010年以降、日本政府はイノベーションを促進する一連の包括的な政策を実施してきました。これにより、他国で新薬が導入されてから日本の患者さんが同じ新薬を利用できるようになるまでの遅れ(ドラッグラグ)は解消され、バイオ医薬品関連の対日投資は増大しました。特に臨床試験の実施は大幅に増大し、バイオ医薬品分野は日本経済の継続的成長を牽引する存在としての地位を確保するに至っています。
イノベーションを促進する政策の中でも特に重要なものの一つが「新薬創出等加算」です。イノベーションを評価し、特許期間中の医薬品の価格を安定的に維持する制度です。この制度により、特許期間終了後は急速に薬価が下降し、後発品へのシフトが速やかに進行するようになっているとも言えます。今回の様々な会合において、上記3社のリーダーは、「日本において、最先端の治療法と医薬品が患者さんに提供されている現状を維持し、今後も患者さん、社会、経済にとっても有益で、真に持続可能な医療制度を確立するためにも、新薬創出等加算を恒久的な制度として定めること、制度の対象となる医薬品の範囲を狭めないことを日本政府に対して訴えかけました。
また、政府に対し、もし、日本が医療技術評価制度(HTA)を導入する場合には、治療介入の費用対効果を評価するなど、様々な潜在的な問題をも視野に入れて、慎重に進めていくべきとの提言も行いました。それは、医療技術評価制度を導入したすべての国で、イノベーションが抑制されたり、必要とされる医薬品への患者さんのアクセスが遅れる、あるいは完全に遮断されるという事態が実際に起きているからです。
英国では、俗に言う「費用対効果閾値」が招いた状況は実に厳しくなっています。例えば、がんと診断された患者さんの5年相対生存率は世界の平均を下回り、政治が紛糾した結果、命を救う治療薬への患者さんのアクセスを確保するために、がん治療薬のための特別基金を設立することを余儀なくされました。日本の責任として、このように医療革新や、治療薬への患者さんのアクセスを妨げるような、HTA に関する政策を策定しないことが何よりも肝要です。
バイオ医薬品開発のイノベーションに関する日本の未来について、米国研究製薬工業協会(PhRMA)の理事長兼 CEO であるスティーブン・J・ユーブルは次のように述べています。
「日本の国民皆保険制度は世界でも有数のものです。日本が今後も世界においてリーダーシップを発揮し続けるためには、政府が過去10年間実施してきたイノベーション促進の政策を更に推進し、恒久化すべきです。その上で、このような素晴らしい制度、システムを維持することを阻み、国民皆保険制度の長期にわたる安定性を脅かしかねない政策からこれらを守ることが必要不可欠です」
本件に関するヒューギン、フレージャー、リックスの 3 氏によるコメントは以下の通りです。
セルジーン社 会長のロバート・J・ヒューギン:「現在開発段階にある数千にも上る新薬は、現代において最も治療が困難な病気に対する闘いの勝敗を決する重要な鍵を握っていると言えます。信じられないほどに進化した現代の科学を活用し、病気に対する従来の見方を再定義し、世界中の患者さんがこのような進化の恩恵を受けられるようにすることこそが、進化が持つ本当の価値なのです」
メルク社 会長兼最高経営責任者のケネス・C・フレージャー:「研究開発への投資、臨床試験の実施、政府首脳や医療関連のステークホルダーへの働きかけなど、製薬企業は業界として様々な活動を行っています。そして、その中心には、いつも患者さんがいます。ですから、日本を含めた世界で私たちが推進を目指す政策の主眼は、患者さんとその家族のためになる医療制度を構築し、維持し、強化してくことに他なりません」
イーライリリー・アンド・カンパニー 会長&最高経営責任者のデイヴィッド・A・リックス:「創薬は、大変リスクの高いビジネスです。だからこそ、我々は日本の新薬創出等加算のような透明性・予見性を備えた、規制や薬価制度を頼りにしています。我々は、短期的な思考ではなく、例えばアルツハイマー病の治療法を開発するというような、長期的な目標に向かって、責任をともに共有したいと考えているのです。」
【本件に関するお問い合わせ】
米国研究製薬工業協会(PhRMA)広報事務局
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