日時:2016年8月26日(金曜日)
場所:東京・千代田区
PhRMAは、日本の患者団体の方々への支援活動の一環として、去る2016年8月26日(金)、2016年第2回目となる「インフォメーション・セッション」を開催しました。
今回は、行政への働きかけを行い、具体的な進展があった事例をご紹介する講演会と、その内容を受けてパネルディスカッションを行いました。講演会では、講師のお二人それぞれから、国や地方自治体に働きかけて成果のあった活動について、成果だけではなく、働きかけの方法や工夫された点まで具体的にご紹介いただき、また、パネルディスカッションでは、参加者からの質問に対し、講師に回答して頂きながら、意見交換を行いました。
まず初めに、ご家族の治療のために奮起し国内初の肺高血圧症患者会を設立され、新薬の承認、肺高血圧症の治療の進展を目標とし、国内外で活動されているPAHの会代表の村上氏にご講演いただきました。 ご家族の肺高血圧症への罹患がわかった当時、国内では治療方法がなく、海外に希望を求めて自ら行動を起こされたご経験や、進行性の希少疾患であることから、同じ疾患と戦う仲間や医師、製薬会社など治療の進展のための協力者を得るまでにご苦労された点、諦めずにねばり強く行政へ働きかけを行っていく中で得られた成果についてご紹介いただきました。さらに、治療薬(新薬)が国内で承認されたものの減額査定などの課題が残ってしまったご経験から、情報収集や発信、医師や製薬会社などステークホルダーと良好な関係の構築・維持を行っていく上での心構えやスタンスに変化があったことなど、活動成果の紹介にとどまらない、具体的でかつ疾病領域を超えて共通して参考にしていただける経験談に、参加者の皆さんも熱心に耳を傾ける様子が見受けられました。
講師:村上 紀子氏 |
講演風景 |
次に、兵庫県の保健師としてお仕事をされる一方で、一市民として、「学童保育づくり」や「認知症の人にやさしいまちづくり」の取り組みのために、行政に働きかけを行い、具体的な成果に結びつけてきたご経験を清水氏にご講演いただきました。 行政に施策化を求めた「学童保育づくり」では、請願書・要望書の書き方など具体的な手法も交えながら、実績を積み重ねながら補助金事業にまで発展させた活動を、また、「認知症の人にやさしいまちづくり」では、住民サイドから行政に対して、「住民との協働事業」を提案し、実施に向けて取り組んでいる活動を紹介されました。 同じ課題を持つ人々を組織化し、他団体などを巻き込みながら、先を見越した活動へと繋げていくこと、また行政との協働を目指すには、ただ、要望を提示するだけではなく、国の動きや他市の動向を把握し、行政側のニーズにも応じた解決策を示していくことも大切であるというお話には、患者団体の活動にリンクする部分も多いことから、参加者が大きく頷きメモをとる姿が多く見受けられました。
講師:清水 美代子氏 |
講演風景 |
パネルディスカッションでは、講演講師2名とモデレーターが登壇し、参加者から寄せられた質問に講師陣が回答するという形式で進められました。 せっかく関係を構築しても行政側の担当者が代わってしまうという課題に対しては、「相手の状況、立場を配慮しながらアプローチを行っていくことが近道となることもある」、またステークホルダーとの協調という点においては、「意見をぶつけ合う中から発展、互いに成長していくこともある」、「大きな目標のためには海外の患者とも協力して医師や製薬会社を巻き込んでいくことも大切ではないか」といった意見が交わされ、行政への働きかけにおいては、諦めずに取り組んでいくことの大切さが繰り返し話題に上りました。 講師陣の回答に対し、参加者から新たな質問があがるなど、会場全体での活発な意見交換となりました。
パネルディスカッション風景
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今回は、30名20団体の患者団体の方々が参加され、参加者の方々からは、「最初から諦めずに、行政への働きかけを始めようと思いました。」、「ねばり強く、行政に対して働きかけていくことが重要だと思いました。」、「行政への働きかけのためにも、患者・医師・製薬会社・その他支援者の理想的な関係について、今後考えてみたいと思いました。」、「壁にぶち当たっても、めげずに活動しているお二人の明るさに希望を感じました。」、「本音トークで大変勉強になりました。」等、多くのコメントが寄せられました。