PhRMAは去る2018年11月17日、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)において、国内の産官学の若手研究者たちを対象に、「第6回ヤング・サイエンティスト・シンポジウム」と題した研究会を開催しました。
同シンポジウムは、PhRMAが2013年に発表した、基礎研究に携わる日本人の若手研究者を対象とした人材育成支援プログラム『ヤング・サイエンティスト・プログラム』の一環として実施しているものです。創薬分野における若手研究者の果たすべき役割の重要性をグローバルな視点で再認識してもらうこと、研究意欲のさらなる向上、創薬分野で世界的に活躍できる人材を育成することを目的としています。
第6回目となる今回のシンポジウムは、開催当初からの「産・官・学それぞれの視点から若手研究者にトランスレーショナルリサーチ(TR)の重要性を伝える」という基本路線を踏襲し、産学連携の成功事例などを題材に各代表者の方による講演、「海外展開」や「人材育成」をテーマにパネリストのそれぞれの視点から議論を行うパネルディスカッションの2部構成で実施しました。
当日の午前中には、別会場にて希望者のみを対象としたファイザー株式会社による特別プログラム「Pfizer3D」を実施しました。こちらは、実際にファイザー株式会社の新人教育で取り入れられている、ゲーム感覚でスクリーニングから上市までの研究開発プロセスを学ぶ体験型研修プログラムで、参加者は4チームに分かれ、糖尿病治療薬を例に、各プロセスの担当者として、シーズ決定や安全性・薬物動態の確認・臨床試験・承認までにおける各フェーズでの決定事項についてそれぞれの視点からディスカッションを行いました。
午後のシンポジウム本編は、原田 明久 PhRMA在日執行委員会副委員長の開会挨拶から始まり、厚生労働省 桑原 宏哉氏、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED) 草間 真紀子氏がモデレーターとなり、第1部の講演会を行いました。
初めにアカデミアから東京農工大学大学院 農学研究院 蓮見 惠司教授が「血栓溶解を促進する化合物SMTPの発見と開発」と題し、様々な方との出会いを通して化合物の探索、SMTPの発見、ベンチャー企業を立ち上げ、何度かの会社存亡の危機を乗り越え臨床試験までを行った経緯を紹介しました。
続いて企業からはバイオジェン・ジャパン株式会社 鳥居 慎一 代表取締役会長より「日本のサイエンスを活かした創薬の可能性」と題し、新薬創出における日本の過去・現在の立ち位置や、今後より新薬を創出していくにあたって産官学はもちろんのこと、医・薬・理工の協力体制の構築の重要性についても、上記SMTPのライセンス導入に至った経緯などを交え、自社の取り組みを紹介しながら講演を行いました。
最後に行政の立場から国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED) 井本 昌克氏より「革新的医療技術創出拠点プロジェクトとアカデミアシーズの実用化」と題し、AMEDの役割や若手研究者の育成の取り組み、他事業との連携について紹介しました。
第2部のパネルディスカッションでは、日本製薬工業協会(JPMA) 稲垣 治氏、野中 健史 PhRMA S&Rリーダーシップ委員会 委員長がモデレーターを務め、第1部の登壇者である蓮見氏、鳥居氏、井本氏、草間氏に加え、国忠 聡 日本製薬工業協会(JPMA)医薬品評価委員会 委員長がパネリストとして登壇し、「アカデミアシーズを海外展開するにあたっての問題点」「人材育成について若手研究者が望むこと」をテーマにそれぞれの視点からディスカッションを行いました。
4時間に及んだシンポジウムは、野中氏による閉会挨拶とともに幕を閉じました。
本シンポジウムの参加者からは「産・官・学の各々の特色や主張、お互いの協調が大事だということが活発にディスカッションされていて興味深かった」「日本のシーズ環境の現状や課題がよく分かった」「アカデミア発シーズをもとに実用化されたリアルな話を聞くことができてとても参考になった」などのコメントが寄せられました。
詳細は第6回ヤング・サイエンティスト・シンポジウムWebサイトをご覧ください。
http://yss.umin.jp/index.html
■特別プログラム「Pfizer 3D」
■シンポジウム
■登壇者
原田 明久 |
桑原 宏哉氏 |
草間 真紀子氏 |
蓮見 惠司氏 |
鳥居 慎一氏 |
井本 昌克氏 |
国忠 聡氏 |
稲垣 治氏 |
野中 健史 |