PhRMAは去る2019年11月16日、国立大学法人筑波大学 東京キャンパスにおいて、国内の産官学の若手研究者たちを対象に、「第7回ヤング・サイエンティスト・シンポジウム」と題した研究会を国立大学法人筑波大学と共催で開催しました。
同シンポジウムは、PhRMAが2013年に発表した、基礎研究に携わる日本人の若手研究者を対象とした人材育成支援プログラム『ヤング・サイエンティスト・プログラム』の一環として実施しているものです。創薬分野における若手研究者の果たすべき役割の重要性をグローバルな視点で再認識してもらうこと、研究意欲のさらなる向上、創薬分野で世界的に活躍できる人材を育成することを目的としています。
第7回目となる今回のシンポジウムは、開催当初からの「産・官・学それぞれの視点から若手研究者にトランスレーショナルリサーチ(TR)の重要性を伝える」という基本路線を踏襲し、研究資金獲得をメインテーマに、支援を受けるアカデミアや、支援する側である企業やベンチャーキャピタル、規制・政策の枠組みや環境整備を行う規制当局など様々な立場から講演をいただきました。また共催の筑波大学が行っている医療アントレプレナー育成プログラム「Research Studio powered by SPARK」の紹介や、「出口戦略に向けたハードルとは」「スタートアップ育成上の課題・挑戦」をテーマにパネルディスカッションも行いました。
当日の午前中には、別会場にて希望者のみを対象としたファイザー株式会社による特別プログラム「Pfizer3D」を実施しました。こちらは、実際にファイザー株式会社の新人教育で取り入れられている、ゲーム感覚でスクリーニングから上市までの研究開発プロセスを学ぶ体験型研修プログラムで、参加者は2チームに分かれ、糖尿病治療薬を例に、各プロセスの担当者として、シーズ決定や安全性・薬物動態の確認・臨床試験・承認までにおける各フェーズでの決定事項についてそれぞれの視点からディスカッションを行いました。
午後のシンポジウム本編は、野中 健史 PhRMA S&Rリーダーシップ委員会委員長の開会挨拶から始まり、筑波大学つくば臨床医学研究開発機構(T-CReDO)研究開発マネジメント部長の山田 雅信氏がモデレーターとなり、第1部の講演会を行いました。
初めに行政の立場から経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課 課長補佐の北角 理麻氏が「バイオベンチャーが抱える資金調達の課題と投資家との対話のあり方について」と題し、日本のバイオベンチャーが成長するための資金調達環境の改善に必要なベンチャーと投資家をつなぐ仕組みづくりについて紹介しました。
続いて患者団体・ベンチャーキャピタルの双方の立場から一般社団法人こいのぼり創業者・理事で、富士見ベンチャー・パートナーズ株式会社代表取締役でもある渕上 欣司氏より「コイノボリ:ミトコンドリア病患者家族による創薬活動」と題し、希少疾患であるミトコンドリア病の患者家族による、治療薬開発支援のための資金調達、ベンチャーや研究事業への支援などの取り組みを紹介しました。
続いて筑波大学生存ダイナミクス研究センター教授の渋谷 彰氏より「免疫難病の克服を目指した基礎研究から創薬開発研究へ」と題して、実際に免疫受容体に焦点を絞った基礎研究を通してアレルギー性疾患の創薬開発に向けた研究について講演を行いました。
最後にJohnson & Johnson INNOVATION Asia Pacific Innovation Center New Ventures Japan Directorの 楠 淳氏より「J&Jにおけるヘルスケアエコシステム構築への取り組み」と題し、ジョンソンエンドジョンソンで実際に行っているオープンイノベーションモデルならびにヘルスケアエコシステム構築への取り組みについて概説しました。
第2部はまず、筑波大学つくば臨床医学研究開発機構(T-CReDO)が行っている医療アントレプレナー育成プログラム「Research Studio Powered by SPARK」の紹介を筑波大学つくば臨床医学研究開発機構 機構長の荒川 義弘氏が行い、2018年にResearch Studioを受講した株式会社メトセラ 経営企画部マネージャー 菅 愛子氏よりResearch Studioの参加を通して自身のバイオベンチャーでどのように経営計画へ反映したかなど、体験談を交えて紹介しました。
パネルディスカッションでは、荒川 義弘氏がモデレーターを務め、第1部の登壇者である北角氏、渕上氏、渋谷氏、楠氏に加え、厚生労働省 医政局 研究開発振興課治験推進室 室長補佐の桑原 宏哉氏、バイエル薬品株式会社 オープンイノベーションセンター センター長の高橋 俊一氏がパネリストとして登壇し、「出口戦略に向けたハードルとは」「スタートアップ育成上の課題・挑戦」をテーマにそれぞれの視点からディスカッションを行いました。
4時間に及んだシンポジウムは、荒川氏による閉会挨拶とともに幕を閉じました。
本シンポジウムの参加者からは「Start upエコシステムに関する様々な課題について整理ができました。」「上場や資金調達の経済面の課題は重要であり、状況をよく理解できました。」などのコメントが寄せられました。
詳細は第7回ヤング・サイエンティスト・シンポジウムWebサイトをご覧ください。
http://yss.umin.jp/index.html
■特別プログラム「Pfizer 3D」
■シンポジウム
■登壇者
野中 健史 |
山田 雅信 |
北角 理麻 |
渕上 欣司 |
渋谷 彰 |
楠 淳 |
荒川 義弘 |
菅 愛子 |
桑原 宏哉 |
高橋 俊一 |
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