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【PhRMA Insight Forum ~理想のインサイトへ向けて~】実施レポート

【PhRMA Insight Forum ~理想のインサイトへ向けて~】実施レポート

日時:2021年12月08日(オンライン会議)


本フォーラムはPhRMA Networking Groupに属するInsight forum groupにより企画、開催されました。
【Practice Sharing~理想のインサイトへ向けた取り組み~】では、10月に開催されたSmall sessionで挙げられた課題や議論内容の振り返りを行い、それらの課題に対する具体的な解決策のプラクティスを演者3名から共有されました。 【External View~製薬外での取り組みと我々への期待~】の前半では、製薬会社以外の業界でのインサイトの収集および活用方法について医療機器会社の立場から実例を交えてご講演いただきました。後半では、MAPS(Medical Affairs Professional Society)から演者をお招きし、MSL活動における日本と海外の違いや今後のMSL活動の在り方についてご講演いただきました。
本会はMSLが抱える課題に対する解決策としてのプラクティス共有を通して製薬業界全体におけるMSL活動の質向上に寄与するのみならず、今後のMSLとしての在り方や各MSLのキャリア設計を考える上で学びある時間となることを期待して実施され、PhRMA加盟企業に関わらず45社から283名の参加となりました。

【Practice Sharing~理想のインサイトへ向けた取り組み~】

『これまでの取り組みと明らかになった問題点~インサイトに関連したディスカッションを通して~』
岡田真一(MSD株式会社)
皆嶋健(MSD株式会社)

PhRMA Networking Group (NWG) の体制と活動目的、2021年度 Insight Forum teamの取り組みとして各社によるインサイトに関連する課題抽出と解決策の検討から2つのForum開催に至った経緯を紹介しました。具体的には、インサイト収集から分析、 共有、 プランニング、 Action実施に至る5つのプロセスごとに抽出された課題をNWGで集約し、重要課題を見出しました。これを元に、前回“Practice Forum“では参加者に向けたアンケートも交えつつ、 課題の共感とSolutionをテーマにパネルディスカッションを実施しました。その結果、各社インサイトに関連する体制やMSLの関わり方は異なるものの、抱える課題は同様であり、高い共感や学びを得る機会となりました。そこで今回の”Insight Forum”前半パートでは、 3名の演者より課題に対する実際の取り組みを共有いただき、 試行錯誤の面も含めたディスカッションを行う運びとなりました。

『課題に対する解決策のプラクティス共有』

岡田唯(日本イーライリリー株式会社)
CI/PMN activityのご紹介 ~よりよいCIの活用を目指して~

顧客面談時に入手したインサイトの中でも、フリーディスカッションで得られるインサイトにフォーカスし、記録・集計・分析・可視化・アウトプット方法に関するTipsが共有されました。CV/CI/PMNといった3段階の分類、事前設定したCQでタグ付けされたCIの記録、トレンドを把握するための4半期ごとの集計・分析、サマリーと量的評価を組み合わせた社内関連部署への共有、といった一連のサイクルを実行しました。継続的に活動の見直しを行い、MSLは収集されたCIの重みを考慮した議論が可能となり、社内関連部署の関心・ニーズに沿ってCIが活用されるべく現在も改善がされています。
*CV: Customer Voice *CI: Clinical Insight *PMN: Patients Medical Needs

佐々木武治(ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社)
Drとの面談スキル向上のための取り組み -Dr顧客体験向上サーベイの利用-

Drとの面談スキル向上のために、MSLが顧客と面談後に、その面談に関しての評価やコメントを顧客に求めるサーベイ(定量・定性)の取り組みと課題が共有されました。満足度とフリーテキストコメントのみのサーベイ結果では、面談の改善ポイントを把握することが難しかったため、MSLの上長から顧客に対しフォローアップを行う、あるいはOJT時に直接聞くことで、面談の改善ポイントや関心領域について、詳細な情報が得られるようになりました。得た情報を基に改善策を検討し次回以降の面談に反映しています。なお、今後の課題としては、同じ顧客に複数回のサーベイを行う方法、またMSLのサーベイ依頼への更なる理解が挙げられます。

萩森恒平(日本イーライリリー株式会社)
外部顧客に対するMSL評価アンケート実施

顧客から信頼されるMSLとなるためのフィードバックを得ることを目的に、MSL評価アンケートを実施した事例が共有されました。継続的にタッチポイントのあるThought Leaderに対し、情報提供・学会発表サポート等の活動に関し、他社MSL活動との相対的評価を依頼し、自身が今後さらに向上させるポイントの顕在化といった学びがありました。加えてMSLのRole&Responsibilityを顧客に理解してもらうという副次的な効果もありました。

パネルディスカッション

Q)
MSLに必要とされるスキルやマインドセットは?
A)
スキル:コミュニケーションスキル(端的に質問に回答できるスキル含む)
マインド:探求心、患者に貢献するマインド
Q)
インサイト収集~分析~Actionへの結び付けが成功した事例は?
A)
顧客向け資料の改訂。
他部署のPlan精査・修正を見据えたインサイトのシェア。
Q)
インサイトを得る或いは深堀するためのTipsは?
A)
意識的にオープンクエッションとクローズドクエッションを組み合わせる。
医療政策を含んだ広範な知識を習得する。
Clinical Questionに対する自分自身のインサイトをもつ。
Q)
MSLへの効果的な教育方法は?
A)
顧客との接触機会を多くもち、場数を踏む。
周到な面談準備(事前情報収集、提示資料準備、想定Q&A等)を行う。
Q)
顧客との面談を記録する際にどのような工夫をしているか?
A)
分析者が、課題に対する解決策を簡便に選別できるようにするため、Customer VoiceまたはClinical Insightのタグ付けを行った上で記録する。

【External View~製薬外での取り組みと我々への期待~】

『医療機器会社でのインサイトの取り組み』
清水英治(ジョンソンエンドジョンソン株式会社メディカルカンパニー)

医薬品業界との相同性を踏まえ、医療機器業界におけるメディカルアフェアーズ活動について共有されました。医療機器業界と製薬業界の違いとしては、製品のアウトカムと医療技術の発展が関わることから顧客への教育やトレーニングが非常に重要である点、製品のライフサイクルが短い点、また顧客との接触時間が長いため機器の改良等に関するインサイトを得やすい、といった点があります。一方、活動自体に関してはほぼ同様であるとの事でした。
インサイトに関しては、「収集→活用(企業内の複数の部署)→アウトプット(情報提供、新製品導入等)→医療への貢献→さらなるインサイトの収集」というエコシステムを稼働させており、自社医療機器の改良やエビデンスの創出・論文化といったアウトプットに結びついているとの事でした。 なお、最後に、メディカルアフェアーズは、他部署との連携を軸に実施することでEvidence Generationを中心としたエビデンス戦略とその実行を通じて、医療への貢献が可能であるとまとめられました。

『Medical Affairs – MSLs、 education and other strategies -Japan and overseas』
Victoria Elegant(アムジェン株式会社)

本セッションでは、日本国内と海外のMSLの役割に関する違いやCOVID-19による変化、New Normalとしてのオムニチャネルエンゲージメント等、各社が日本におけるMSL活動を今後どのように発展させていくべきかを考える上で大変興味深い知見が共有されました。
Q&AではMSLのキャリア設計の在り方について質問したところ、Open mindであることや様々な職種を経験することの重要性についてアドバイスをいただきました。また、国内のMSL活動の質をどのように向上させるべきかについてお聞きすると、内資系と外資系の製薬企業が協働して取り組む機会の創出およびその意義について演者の経験を交えてお答えいただきました。日本を良く知る立場から、発足してわずか10年足らずの日本のMAの現状と、今後の変革についての講演は大変貴重なものでした。

フォーラム役割者・スタッフ一同(50音順)

氏名 企業名
秋山 雅裕 ヤンセンファーマ株式会社
岡田 真一 MSD株式会社
岡田 唯 日本イーライリリー株式会社
佐々木 武治 ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社
須佐 誠悟 アムジェン株式会社
田中 淳一郎 ヤンセンファーマ株式会社
長崎 修二 MSD株式会社
永野 克将 ヤンセンファーマ株式会社
萩森 恒平 日本イーライリリー株式会社
濵田 淳 ファイザー株式会社
水間 英仁 アムジェン株式会社
皆嶋 健 MSD株式会社
山口 聡 ファイザー株式会社
吉木 康真 ファイザー株式会社

ほか