日時:2022年12月19日(オンライン会議)
本フォーラムはPhRMA MSL Networking Groupのメンバーにより企画・開催しました。
今回もオンライン配信にて、のべ360名を超える方々がご参加され、PhRMA参加企業のみならず、日本製薬工業協会(以下、製薬協)に参加企業の方々からもご出席いただきました。
最初に今岡 丈士(日本イーライリリー株式会社)による挨拶の後、製薬協 医薬品評価委員会 MA部会の野口 明良氏(塩野義製薬株式会社)からショートレクチャーをしていただきました。
その後、「MSLの社内/社外への認知、どうしてる?」、「MSLの教育/評価、どうしてる?」の2つのパネルディスカッションを行ない、片山 泰之(MSD株式会社)による閉会の挨拶で幕を閉じました。
野口 明良(塩野義製薬株式会社)
野口氏からは製薬協の組織や、MA部会MSLタスクフォースの取り組みついてご説明いただきましたが、その中でも特に”MSLの目指すべき方向性”に関しての製薬協での議論と成果物を主にご紹介いただきました。製薬協内での議論は主に、「MSLの所属する組織」「MSLの基本資質」「MSLの任命要件」「MSLの研修制度」「MSLの手順書の整備・MSLの業績評価指標」について強調されてきたこと、そして2022年10月に開催された製薬協MA部会のワークショップの内容についても共有いただきました。ワークショップ内で実施したアンケートでは、MSLの基本的資質についての取り組み・紹介が参考になった、という声があったこともご紹介いただきました
事柴 周平(MSD株式会社)
齊藤 克也(アムジェン株式会社)
野村 竜平(日本イーライリリー株式会社)
山崎 文義(ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社)
本セッションでは、MSLの社内外認知度に関する事前アンケート結果の共有並びに認知度向上のための取り組みについて議論されました。
各社にて方針や手順が整えられており、MSLとMRの役割区別やプロモーション活動の分離等については適切にされていることが分かりました。
しかしながら社内認知度については、セールス・マーケティング特定の部門を除き、全社的な認知度は十分ではないことが判明しました。当日の参加者によるオンライン投票では「約80%が社内認知されないことによる弊害あり」と回答され、特に社内同一顧客の場合には情報共有不足よって問題が発生する可能性も懸念されます。従って、個人レベルのみならずチーム・部門レベルとしても認知向上に向けて取り組むべきとの意見も出されました。
その一例として、MSLの仕事内容を紹介する社内プラットフォームについて紹介があり、参加した他部門社員からは「MSLの活動を知ることは自身のモチベーションアップにもつながる、また参加してみたい」と肯定的な意見をいただけたようです。
一方社外認知度については、顧客へ説明しているもののその理解度は十分とはいえず、顧客が持つイメージはPhRMA指針や「MSLの目指すべき方向性」とはギャップを感じるとの意見が出されました。
解決策の1つとして、スライドを使ってMSL業務説明をする取り組みが紹介されました。本スライドを活用することで、顧客がMSLとディスカッションをすることの重要性を認識するようになり、さらには自発的に臨床現場の情報を共有いただけることになり、結果としてインサイトの収集に役立つことがわかりました。
MSLの活動は顧客への単なる情報提供ではなく、ディスカッションをすることでインサイトが得られ、MA活動につながっていくことを理解していただくことが重要とされました。そのためには、MSL自身も面談毎に顧客のニーズを把握して情報提供し、ディスカッションへつなげていくことが重要であるとのコメントが挙がりました。
小田栄一郎(ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社)
杉山憲司(ギリアド・サイエンシズ株式会社)
藤木真平(MSD株式会社)
吉田将紀(ヤンセンファーマ株式会社)
本セッションでは、MSLの教育・評価に焦点を当てたパネルディスカッションを行ない、「MA活動の“バリュー”を実現するために必要なMSLの育成、適切な評価」について情報共有と議論がなされました。
MSLの教育プログラムについては各社異なるという背景はありますが、事前アンケートの結果では9割弱の企業で「研修制度がある一方、その研修でMSLに必要なスキルが習得できる」と回答された方は7割弱まで減るという結果になりました。また、MSLマネージャーについては約半数が「トレーナーとしての研修を受けていない」という回答結果もあり、MSLへの教育的な面でのフォローアップや効果の測定は不十分であると感じられている実情が浮き彫りとなりました。パネルディスカッションでは、1)MSL研修での良かったこと・困ったこと、2)MSLに必要な資質の維持・向上のために心がけていること、3)研修前後の部下のフォローアップにおいてマネージャーが心がけている事、などについて議論され、価値のあるMA活動・MSL活動を実現するためには多角的な資質が求められ、バックグラウンドに応じた研修システムの構築などが必要ではないかとの議論がなされました。
MSL評価方法への満足度について当日の参加者によるオンライン投票では、「どちらでもない」がもっとも多く、「満足・満足していない」と回答した方がほぼ同数でした。多くの会社では顧客への訪問回数やインサイトを中心とした評価をしていることや、営業・マーケティング部の指標はMSL評価には用いていないという事前アンケートの結果も共有されました。また、MSL評価に用いるべき要素についてのアンケート結果も共有され、社外顧客からの評価や面談の質・量・インサイト関連・社内ステークホルダーからの評価などが挙げられ、これらについてパネリストで議論がなされました。現状、適切な評価指標を決めるのは難しいという意見が多かったものの、MSL活動での評価指標は様々な角度からの評価が必要であり、中長期的な評価も必要になってくるとのコメントもありました。特に活動の質をどのように評価すべきか、については「定量化しにくいため難しい」という意見が多くのパネリストで一致したものとなりました。
総じて、各社指標は異なるものの、活動の量・質を評価する基準があることは望ましく、資質の評価については目標とされているレベルに対して、自身がどの位置にあるのかを可視化できれば評価の透明性につながるのではないか、という議論がなされました。
フォーラム役割者・スタッフ一同(会社名アルファベット順)
企業名 | 氏名 |
---|---|
アッヴィ合同会社 | 入内島 麗子 |
アムジェン株式会社 | 齊藤 克也 |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 | 小田 栄一郎 |
山崎 文義 | |
日本イーライリリー株式会社 | 野村 竜平 |
飯田 真由美 | |
ギリアド・サイエンシズ株式会社 | 杉山 憲司 |
グラクソ・スミスクライン株式会社 | 筒井 昭晴 |
ヤンセンファーマ株式会社 | 田中 淳一郎 |
永坂 真也 | |
吉田 将紀 | |
MSD株式会社 | 事柴 周平 |
藤木 真平 | |
ファイザー株式会社 | 岡田 愛子 |
細井 政佳 |